2010年03月09日

泣くポイント

 人によって泣きのポイントは異なるとは思う。だが、私のそれは、他の人と著しく異なっているようだ。
 不治の病をテーマにした映画、恋の終わり、人との別れをテーマにしたドラマや本など、一般に泣けると言われているものはいっさいダメなのだ。一番泣けるのはスポーツを見ている時、最近ひどく泣いたのは昨年のチャンピオンズ・リーグの決勝。優勝したバルセロナのプレーがあまりに美しくて、涙が溢れてしまった。
『のだめカンタービレ』は基本的に泣けるマンガではないだろうが、私にとってはけっこう泣き所のある作品だ。一般的に泣ける場面は、田舎に帰ったのだめを千秋が追いかけ抱きしめるシーンだろう。
 私が一番泣いたのはLesson20で巨匠シュトレーゼマンを連れ戻すためにやってきた秘書のエリーゼと千秋の会話部分。シュトレーゼマンは昔の恋人を追って日本にやってきたと勘違いしてる千秋に対して、真の目的は千秋なんだと語るエリーゼ、「彼が弟子を作るなんて、そんなのどんなに頼まれたって一度もないことなのよ! あんた本気じゃないならフランツ返してヨ!」という場面。私は不覚にもこれを地下鉄の車内で読んでしまった。「のだめ」を読みながら涙する中年、車内の人にはさぞ不快な思いをさせてしまったことだろう。
 泣くといえば映画。私が一番泣けた映画はティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の「エド・ウッド」である。エド・ウッドは、製作したすべての作品が興行的に大コケし、アメリカ史上最低の映画監督と言われた男である。彼の死後にその作品が「ゴールデンターキー賞」という本で歴代最低映画としてとりあげられたことから、突如カルト的な人気を得るようになった。。
 作っている映画は最低でも、彼の映画に対する純粋な情熱、それに胸を打たれたティム・バートンがその映画化を試みたわけだ。映画が好きで好きでたまらないというエドをジョニー・デップが見事に演じる。そして映画のラスト、完成した自信作のプレミアム試写に恋人同伴で意気揚々と乗り込むエド。そして試写会場に集まった満員の人々を眺め心底幸せそうな顔をする、そのシーンを見たとき、泣けて泣けて仕方なかった。あまりに感動してしまって、一緒に見た相手が感想を語ろうとするのを「今、話しかけないで」とさえぎったため、その後険悪になってしまったくらいだ。この場面を改めて思い出してしまい、今このコラムは泣きながら書いている。
 ところが、「エド・ウッド」を泣ける映画として挙げる人を、雑誌でもテレビでもネットでも、私は見たことがない。もし私と同じ感性をもって、「エド・ウッド」で泣いたという人が名乗り出てくれたら、私はその人のために連帯保証人になってもいいとさえ思っている。
posted by at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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